[PR]恋愛の悩みなら:こころtoからだで診断!

「涼宮ハルヒの憂鬱」二次創作

 

涼宮ハルヒの土産

 

ハルヒが土日を利用して有馬温泉に行ってきたらしい。
一体何で・・・?と訊くのも野暮なことだろう、理由はどうせハルヒだからだ。
「お待たせっ!」
噂をすれば影…じゃないな。
噂もしていなければ待ってもいないのに、ハルヒが白い紙袋をくるくると回しながら部室に入ってきた。
朝比奈さんが恭しく一礼し、古泉が会釈をする。
「涼宮さん、先日有馬温泉に行かれたそうですが」
「そうなのよ、みんなにお土産もあるわ!」
珍しいこともあるもんだ、明日は槍でも降るか?降ったら学校は休みになるんだろうか。
そんな事を考えていると、ハルヒはガサガサと紙袋の中をまさぐり
「古泉君のはコレね」
禿げた気色悪い、やたら頭のでかいおっさんの人形を机の上に置いた。
どかりと置かれた衝撃で、おっさんの頭が幽鬼のようにゆらゆら揺れる。
「これは・・・これは・・・。結構な・・・ものを・・・」
目元をピクピクとさせつつ、おっさんの人形を手元に引き寄せる古泉。
その振動でおっさんのクビが古泉を馬鹿にしたようにカクカク揺れる。
この動き、どこかで見たことあるな・・・ああ、アレだ。イッツオートマティックな女だ。
しかしこの気味悪い人形は何だってんだ、
選んで買ってくるやつも買ってくるやつだが、作るやつも相当なもんだぞ。
「デン助人形・・・」
長門がボソリと呟く。
「昭和35年から48年までNET、現テレビ朝日で放映された『デン助劇場』の懸賞品。
 コレクターの間では一体5万円以上で取引されている。この状態なら15万円は確実・・・」
なんでこんなに詳しいんだ。お笑いマニアか?まあいい。
「すごい値打ちもんじゃないかハルヒ!」
「さすが涼宮さん。もしかしてデン助人形のこと、ご存知でしたか?」
「知らなかったわ!でも一目見たときピンと来たのよ!」
自慢げに腕を組み、にやりと不敵な笑みをたたえて
「骨董屋のディスプレイでその人形がね、古泉君の家に行きたそうな顔してたから
 私が店主にあの人形はいくら?と訊いたら、

 『すみません、これは亡くなった妻との思い出の品でして、売れないんですよ』

 って言ってきたから、買えないなら貰ってくわね!って、タダで貰ってきたのよ」
絶句した。場の空気が凍りついた。まさかコイツがここまで世間のルールに疎いとは思っていなかった。
「あのぅ・・・その、お店の方は何か言ってこなかったんでしょうか・・・?」
朝比奈さんがおずおずと尋ねる、疑問をもっていた俺はうんうんと頷く。
「ああ、私の後ろで「トミエー!トミエー!って、誰だか知らない女の人の名前を叫んでいたわ」
再び空気が凍りついた、さっきより心なしかより温度が下がっているような気がする。
長門はよく分からんが俺と古泉と朝比奈さんの心の中はきっと(まさかここまでとは・・・)だ。
「もしかして、私が亡くなった奥さんに似ていたのかしら?」
ここまでとは・・・!?不本意だが、これからハルヒが買い物に行く際は
誰か一人くらい常識人が付いていかねばなるまい…。これ以上不幸な人を増やさないために。
ああ、そうすると不幸な人が増えるのは防げるけど、俺が不幸なままなんだよなあ。
しかしあの人形、ハルヒへの怨念で夜な夜な血の涙を流しながら
「トミエー!トミエー!」と叫んだりしないだろうな?それだけが気がかりだ…。
「あ、それ面白いわね!」
…どうやら俺の独り言が聞こえてしまっていたらしい。古泉が恨めしげな顔でこっちを見ている。
いや、目は糸目のまんまなんだが、雰囲気が、子どもが藪つっついたて出てきた蛇にかまれた通りすがりの爺さんみたいだったんだ。
ハルヒが面白そうとか言うと全部ホントになっちまうもんなあ・・・スマン、古泉。
「んでね、これが有希とみくるちゃんへのお土産」
俺が呆けている内に、長門と朝比奈さんにパック包装された温泉饅頭が渡されていた。
普通だ…。古泉の前でユラユラ揺れているデン助人形が明らかに浮いている。
って、次は俺か!デン助系統か、温泉饅頭系統か?
来てくれ温泉饅頭ー!
「キョンのはお守りね」
しめた!お守りなら夜な夜なトミエーと泣き出すこともあるまい。
「はいコレ」
???
一瞬思考が真っ白になる。
「ハルヒ・・・この、駅前のドラッグストアで20ロール198円、
単純に割り算するとこの一本は約10円…。みたいなトイレットペーパーは何だ?」
俺がハルヒに手渡されたのは、どこからどう見ても立派な、血統書でもついてそうなトイレットペーパーだった。
しかもシングルだ。シングルは拭くときちょっとゴワゴワして嫌なんだよなあ。
「見る目無いわね。駅前のトイレから取ってきたからタダよ、タダ」
…こういう常識の無い奴のせいで、市の税金はどんどん使われていくんだろうな…。
しかも人へのお土産が拾いもののトイレットペーパーって・・・。まあどうせ忘れたんだろうが。
「それは置いといて、だ。これの何処がお守りなんだ?
 これを腕に巻きつけとけば邪眼の力を封印できるのか?」
ハルヒは一瞬キョトンとした表情をしたが、すぐにいつもどおりの顔になって。
「キョン・・・アンタってば本当にニブいわね!」
「いや、本当にこれの何処がお守りなのか皆目見当つかん」
「コレは福の神、トイレでお尻を拭くの紙よっ!」
「ズコーッ!」
思わず変な声を出してずっこけちまった。デン助の影響かハルヒの駄洒落の昭和臭からかリアクションが古くなっているんだろうか。
あ、ちょっと打ち所が悪かったらしい。視界が、段々と・・・白く・・・


起きたら家のベッドの中だった。
俺は先日の何もかもが夢であれと思ったが、
机の上に厳かに祭られた一本のトイレットペーパーがそれを許してくれない。
時間は朝の6時半、サッとシャワーを浴びて、朝飯をかき込み
いつもよりちょっと早めに学校に向かう。

坂道の途中で、先に行く古泉の後姿が見えた。
「おーい古泉」
振り返る古泉の顔は見事にやつれ、重たげなクマがくっきりとついていた。
「いやー参りました。本当に丑三つ時にデン助人形が
 トミエー!トミエー!って血の涙を流しながら叫びとおしていましたからね」
すまない古泉…。
「流石に僕もこれが毎日続くと洒落にならないので、
機関の人間に頼んで、有馬温泉にデン助人形を帰しに行ってもらいました」
涼宮さんには悪いですが…と古泉は表情一つ変えずに言った。
「デン助人形を勝手に持って行って、申し訳有馬温泉ってね」
「ズコーッ!」
思わず変な声を出してずっこけちまった。デン助の影響か古泉の駄洒落の昭和臭からか、リアクションが古くなっているんだろうか。
あ、ちょっと打ち所が悪かったらしい。視界が、段々と・・・白く・・・。


(了)

 

あとがき

高校時代演劇部に所属し、随分脚本を書いてきた。
上のものは尺が足らずボツにした脚本をSS化して書き直したものだ。
個人的に自信のあった台詞をあえて外し、
地の文と台詞の面白さを半々くらいにして、劇脚本との差別化をはかりSSとしての面白さを出そうとしたが、
果たしてその思惑は成功していたか・・・。厳しいと自分でも感じている。

しかしSSは脚本と違って正直気が楽だ。
つまらないものを書いても私一人が罪を引っかぶればいいだけなのだから。
その点劇は、つまらないと関係者全員が非難を浴びる。
脚本家はさらに役者から非難を浴びる。ふんだりけったりである。
(もちろん、役者は時に脚本のつまらなさを払拭するような素晴らしい演技をしてくれることがある。ありがたい限りだ)

感想があったらTOPにあるメールフォームから送っていただけるとうれしいです。

(追記)
新しく「涼宮ハルヒとふたなり(全年齢対象)」というSSも書きましたので、よかったらどうぞ。

 

 

TOPに戻る


[PR]薬用プロアクティブ公式サイト:実力派にきびケア、60日間返金保証