
狂うぜ先生の日本語講座
〜こそあど言葉〜
「あーもう・・・・」
「…?どうされました?先生」
「世界史飽きた!」
「!」
「!!」
「!!?」
「だから日本語講座やる!!」
「!!?」
「な、なんでですか!?」
「久しぶりに教科書開いたら全然分からなかったんだもん
最近の若い子達が世界史以前に日本語の使い方がなっていないと気付いたからですよ!
近頃の日本語の乱れっぷりたるや筆舌に尽くしがたく・・・・云々」
「でもよ、世界史講座ってセンター試験対応なんだろ?
センター試験ってマークシート方式だから、日本語のウマヘタ、乱れる乱れてないは関係ねーんじゃねえの?」
「それに、ソクラテスも
<子供は、暴君と同じだ。部屋に年長者が入ってきても、起立もしない。
親にはふてくされ、客の前でも騒ぎ、食事のマナーを知らず、足を組み、師に逆らう>
と言っているように、大人が年少者のふるまいに反感を覚えるのは2400年前から変わらないことよ。
アナタもどうせ若い頃は大人に「最近の若い者は言葉遣いがなってない…」とか言われていたんでしょう?
歴史を教える人間のくせに、過去の人間の愚かしい習性を繰り返すなんて・・・アナタ本当に考え方が古いわね。バカ?」
「ええ・・・確かに私は考え方の古い老人かもしれません…。ですが……
お前等の採点するのは考え方の古い老人なんだよ!!」
「!!」
「!!!」
「私もありがたいことに頭の古い老人ですからね、採点風景がありありと浮かんできますよ!
「なんだこの日本語は?頭の悪さが滲み出てるな、減点しちまうか」
「おいおい、しっかりと読点打たないとどこで意味が切れるか分からないぜ・・・よし、減点」
「さて同点者が並んだわけだが…まあ、こっちの日本語上手いやつの方が、
論文書かせるときに教えることが少なくて済みそうだな」
などなどなどなど!」
「でも、でもよ先生、センター試験は…」
「キミはセンター試験しか受けないつもりですか!!?
センター試験が終わった後はもちろん二次試験が待ち受けています。二次の多くは筆記試験ですよ?
あなたは「○○事件の歴史背景を100文字以内で書け〜」と問われて、しっかりとした日本語で書けますか?」
私立は?国立一本ですか?でも浪人一年にいくらかかるか知っていますか?親は浪人を許可してくれるんですか?」
「痛い・・・痛い・・・心が痛い・・・」
「と、こういう事情ですから、受験前の今だからこそ、それなりの日本語の使い方を
学ばせるべきだと思い立ち、急遽日本語講座の開設を決意したというワケです」
「そ、そう言われると・・・今こそ日本語を勉強しなきゃいけない気になってきたわ!」
「先生、生意気な口きいてすいませんでした!」
「分かってくれればいいんです!それじゃあ皆さん、楽しく日本語をお勉強しましょうか!」
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「はーい!!」
(こいつらぜってー、一度は進研ゼミの漫画につられてチャレンジはじめた手合いだよ)
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「よく知ってるな(ね)!!」
「何も言うまい・・・」
「でも先生、脱線ばっかりで、メインの世界史講座の方は終わるメドが立っているんでしょうか?」
「脱線ばっかのからくりサーカスも完結したし、大丈夫!」
「ホントかよ・・・」
「で、先生。今日は日本語の何を勉強するんですか?」
「ええ、今日はこそあど言葉の勉強をしたいと思います」
「はぁ!?こそあど言葉って「コレ、ソレ、アレ、ドレ?」のこそあど言葉ですか?」
「ええ」
「コイツ、ソイツ、アイツ、ドイツ?のこそあど言葉ですか?」
「Ja(ヤー)」
(ドイツだけに・・・)
「でも先生、こそあど言葉なんて、教わらなくても、日本語喋れる人なら皆使いこなしてますよ」
「言ぃったなぁー☆」
「なんで沢山のおじゃまぷよを降らされたアルル風の声で・・・」
「じゃあお尋ねしますが、そらさん、アナタ「コレ、ソレ、アレ、ドレ」の使い分けを説明出来ますか?」
「・・・・・・・・・・・・アレ?」
「出来ないでしょう?そう、出来なくて当然なのです。
何故なら我々は感覚に頼って「コレ、ソレ、アレ、ドレ」のどれを使うか決めているから!
ですが考えてみてください。感覚に頼り続けて「こそあど言葉」の入った文章を書き続け、
運悪く試験当日に、フと「この場合、ソレとアレ、どっち使えばいいんだろ・・・?」とか素に戻ってしまったら!
もう悲劇ですよ。どっちを選んでも不正解のような気がして仕方が無い。
しかも拠り所は感覚という不確かなものだから、出した答えに自信など持てるはずがない。
それでウダウダと試験時間終了まで考え続けるわけですよ。その問題を後回しにするという思考さえ湧かずに。
そしてそれは私です」
「そうか・・・先生は俺たちに同じ苦しみを味わわせないためにも・・・しっかりとした理論を教えようと・・・」
「その通りです。「その」というのもこそあど言葉ですね。
でぃあっか君、この場合なんで「あの」や「この」ではいけないか説明出来ますか?」
「・・・・出来ません」
「ということですから、今回はみなさんに「こそあど言葉」の使い分けを
私流の理論で学んでいただこうと思います」
「私流って・・・それで間違ってたら、洒落にならないわよ・・・?」
「だいじょうぶだいじょうぶ、へいきへいき。もし私の理論が間違っているような場面に出くわしたら、
その時こそ感覚に頼ってください。まあ、そんな事態は殆ど起こらないと思いますが」
(殆どとか言う辺り、微妙に自信がないんだなあ…)
「前置きが長くなりました。早速こそあど言葉の使い分けをお教えしましょう。
今回はクラスのお友達と「二人組み」を作ってください。そうするとグンと教えやすくなるんですよ」
「まあ、オレとでぃあっかは決定稿みたいなモンだな」
「付き合ってるしな」
「いや!このクラスの生徒に男がオレとお前しかいねーからだろ!」
「お前、男なら誰でもよかったのか・・・・!?ケダモノ!!!」
「あーもう!」
「バカはほっといて女子のみなさんもさっさとペアを作ってください」
「私はそらちゃんと組むわ・・・」
「反論など出来よう筈も無く」
「・・・・私は?」
「せんせー、友達のいないかがりちゃんが余りましたー」
「こういう時に、自分のクラスでの人気が如実に分かるからイヤだよなあ・・・哀れなり」
「あれ、ウチのクラスにはもう一人長門さんという
女子生徒がいた筈ですが…」
「いたの!?」
「三年前からいたわ。狂うぜ先生が世界史講座を開くずっと前から、わたし達を待っていたのよ・・・知らんけど」
「なんかちっさい文字が!」
「ああ先生、長門ならペアと聴いた途端、一年五組の方に行っちまいました」
「一年五組というと・・・キョンくんやハルヒさんのクラスですね・・・」
「ヘヘヘ、先生、きっと長門のことですから、授業中でもお構いなしにガラリと一年五組の扉を開けて」
「うろたえるクラスメイトのことなんか目に入らないといった様子で一直線にキョンに向かって歩み寄り!」
「キョンのシャツの袖をぎゅうと持って無表情でこう言うワケですよ」
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「…………ペア」
「じゃあ仕方ないよね!!」
「こいつらキョン×長門派か・・・」
「ということでカガリさん、長門さんは一身上の都合でいませんので、妄想でもペアの相手にしてください」
「な・・・なんかもうやってるみたいです・・・」
「アハハ・・・お父様・・・聴いてください・・・今日もたくさん、狂うぜ先生にホメられたんですよ・・・」
「やたら手馴れていて怖いんですけど」
「妄想癖に虚言癖とは・・・アトピーととびひくらい嫌な合併症ですねえ…
ま、彼女のことはほうっておいて・・・授業をすすめましょう。
ペアになった二人で、あちらの三つのテーブルにそれぞれついてください!」
「うわー、テーブルの上に昼食が用意されてるぞー(説明口調)」
「まちきれねーぜー、よし、おれはここの席につくぞー(棒読み)」
「じゃあ皆さん、それでは今より自由に昼食を食べてくれて結構ですよ!
ただし、人名以外の名詞はすべてこそあど言葉で済ませてください!!」
「何よ、簡単そうじゃない・・・」
「全くだぜ・・・!!?(困った・・・マヨネーズがオレの手元に無い…あ、いざあくの所にあるじゃんか)
おいいざあく、それとってくれよ」
「(それって言われてもな・・・ソース、醤油、ラー油、夜神粧裕、たくさんあるしな・・・ま、でぃあっかならこれだろ)
コレでいいか?」
「バカ野郎、なんでオレでそれを連想するんだよ!オレはそんなにソース顔かよ!」
「じゃあどれだよ!バカ!」
「だーかーらー、それだって言ってんだろヌケサク!」
「終了〜〜!!みなさん、こそあど言葉の使い分けが何となく分かりましたか?」
「分かるわけないわよ」
「ま、そうでしょうね(ケロリ)んじゃあ、一つずつ使い分け方を説明しましょうか。
まず「こ」コレ、コイツ、コノ…etcは、自分の手が届く範囲、もしくは自分に属するものに対して使います」
「なるほど・・・さっき、オレがソースを持ってコレと言ったのは、自分に手が届くものだったからなんだな」
「それじゃあ自分に属するというのは…」
「そうですね。例えば自分の考えなどがそうですね。オレはこう思う・・・とか
消されるなこの思い、忘れるな我が痛み。とかがそうですね。
他にはこんな娘とイイナ♪、出来たらイイナ♪
この場合の「こんな」は、自分の妄想の産物か、自分に極めて近い女の子を対象としているわけです」
「カミナギー!」
(なんだか最後の歌の歌詞表記が微妙に違っていた気が・・・)
「次は「そ」ソレ、ソイツ、ソノ…etcは「こ」の反対なので簡単です。
相手の手が届く範囲、もしくは相手に属するものに対して使います。
今回二人組を作ってもらったのは、こそあど言葉というのは
自分と相手を規定した時、もっとも分かりやすく見えてくると考えているからなんですね」
「んじゃ、さっきオレが言ったソレとってくれってのは、いざあくにマヨネーズが近かったからなんだな」
「それじゃあ先生、相手に属するというのは・・・」
「ええ、例えば「それは止めとけ」というのは、相手が行おうとする行為、考えに対し言っているわけですね。
もっと分かりやすく言えば・・・そうですね・・・みなさん、下の画像を見てください。
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「そんな事言われても・・・」
「そんな事言われても・・・」
「えーと、涼宮ハルヒだろ?長門有希だろ?アルルゥだろ?大門マサルだろ?」
「オイ、誰かコイツつまみ出せ」
「分かってもらえたと思いますが、この場合
そんな事というのは、富野御大の考え、つまり富野御大という相手に属するものということになるわけですね」
「でも先生、栗林みな実はしょっちゅう「そんな感じで〜す」とか言ってますけど、これはどういう事なんですか?」
「厳密に言えばマチガイです。というか、マチガイだからこそみんなの耳に印象深く残ったのでしょう。
常套句や紋切り型は逆に耳に残りませんからね。
この場合は「そんな感じ」と、自分が今まで語っていたことを放り投げて、
相手の思うよう自由に受け止めて〜といういい加減さが言葉に内包されていて、
言葉の面白味を引き出しているんでしょうね」
「じゃあ次は「あ」ですね」
「「あ」アレ、アイツ、アノ…etcは、自分とも相手とも対象の距離が離れているときに使います。
例えば「アレは何だ?UFOか!?」という言葉、もし自分の近くにあればコレは何だ?と問うでしょうし、
相手の近くにあればソレは何だ?と問うでしょう。つまり、コレでもソレでも不適当な位置に対象がある場合「ア」の出番なわけです」
「蘭姉ちゃんも「アイツ・・・何やってんだろ」と、遠くにいる新一君のことを思ってたしな
「新一はコナンなのにな」
「ねーよwwwwwwwwwww」
「コナンはコナンだろバーローwwwwwwwwwww」
「新手のイジメ?新手のイジメか!?」
「さて、最後の「ど」ドレ、ドイツ、ドノ…etcは自分が対象を認識していない時につかいます」
「オレがさっき、お前が望むのはどれだよ?と言ったときが当てはまりますね」
「んじゃ先生「コレドイツんだ?」「オランダ」ってやりとりのときは?」
「こそあどが続くような場合はこそあどを分けて考えるのが良いでしょう。
今回では コレ と ドイツ を分けて考えるのです。コレが指すのは彼が手に持っているもの、
ドイツが指し示すのはコレの持ち主のことと。そう考えれば混乱することもなくなります」
「なるほど・・・」
「とまあこんな感じで、私流のこそあど言葉の使い方は分かっていただけたでしょうか?
正直、取りこぼしはまだまだありそうですが、
感覚ではどうにもならなくなった時の拠り所……の保険としてでも覚えておいていただければ幸いです」
「事実、この言語使用法は自らと相手との関係が成立している時にしか適用されない」
「痛いところを・・・まあ、そういうことです!」
「逃げたな…」
「せんせー、次の講義では何を勉強するんでしょうか?」
「そうですね・・・まあ気が向いたら、『直喩と隠喩』でもやりましょうかね…
それでは皆さん、さよなら、さよなら、さよなら」
「古っ! そして何時に無く静かに終わったわね… 筆者のテンションが尽きたのかしら……
それにしても何か忘れているような・・・・・・」
「あはは・・・見て見て・・・わたしまた百点取ったんだよ・・・オトモダチもいっぱいできたよ・・・あはは・・・・」
←を描いた人、メシア
オマケ
>その通りです。「その」というのもこそあど言葉ですね。
>でぃあっか君、この場合なんで「あの」や「この」ではいけないか説明出来ますか?」
その通りの「その」は狂うぜ先生の前に発せられたいざあくの言葉にかかっている。
いざあくの言葉はいざあく(つまり相手)に属すものなので「その」を用いる。
この際、狂うぜ先生といざあく君は二人組を作っていたことになる。
>そしてそれは私です
狂うぜ先生の言葉はもしかしたらおかしく映るかもしれないが、
「それ」の対象は「かつての自分」であり、現在の「私」と隔たりがあるため、自らと別個として用いたのだろう。
その時狂うぜ先生は嘗ての自分と二人組を作っていたのだ。
・・・屁理屈さえこねれば幾らでもいけそうだぞ・・・